Cisco Unveils Cisco Cloud Control for AI-Human Collaboration in IT Infrastructure Management
Cisco Systems(以下、Cisco)は2026年6月2日(現地時間)、重要なITインフラの運用と監視、防御を人とAIエージェントが共同で担う統合基盤「Cisco Cloud Control」を発表した。
年次カンファレンス「Cisco Live US」で公開した同サービスは、同社が掲げる「AgenticOps」構想の中核となるもので、ネットワークやセキュリティなど複数分野の管理機能を一元化する。
人とAIエージェントがデータと運用情報を共有
Cisco Cloud Controlは、ネットワークとセキュリティ、コンピュート、オブザーバビリティ、コラボレーションを単一環境に統合する。利用者は1つの認証で全体の状況を把握でき、人とAIエージェントが同じデータ層と運用情報を共有する。最終的な統制権は利用者が保持する。同サービスでは自然言語を使って独自のアプリケーションやAIエージェントを作成できる。「Amazon Web Service」(AWS)や「Microsoft Azure」「Google Cloud」「ServiceNow」「Slack」「PagerDuty」「Linear」などの外部サービスとも連携可能で、Google Cloud傘下のWizも対象に加わった。
Ciscoのジートゥ・パテル氏(社長兼最高製品責任者)は、AIエージェントが超高速で判断と実行を繰り返す時代において、重要インフラの管理や防御の在り方が変化していると説明した。その上でCisco Cloud Controlを、人とAIエージェントが同じ環境と情報を共有する司令塔と位置付けた。
Cisco Cloud Controlは、ネットワークやセキュリティなど複数領域から収集したテレメトリー情報を統合する。運用担当者とAIエージェントは共通データに基づき、稼働率やエージェントの挙動などの課題に対応できる。
推論基盤には、40年分のネットワーク運用データを活用したCisco独自の「Deep Network Model」を含む専用モデル群を採用し、課題の複雑さに応じて推論する。AIエージェントは異常検知や原因特定から、修復実施、変更内容の検証、利用者体験の回復確認までの工程を自律的に実行する。Ciscoのテレメトリー情報や専用モデルを活用し、運用業務の自動化を支援する。
生成AI型の共同作業空間「Cisco AI Canvas」も提供する。運用担当者とAIエージェントが同じ証跡情報を参照し、問題の分析から解決までを協働で進める。作業履歴や文脈情報は引き継がれ、担当交代時も情報が失われない。
開発環境「Cloud Control Studio」では顧客独自のポリシーや業務手順に対応したエージェントを構築できる。50以上の外部プラットフォームやツールと接続できる他、「OpenAI Codex」を組み込んだアプリ開発機能も備える。作成したアプリやエージェントは専用マーケットプレースで公開可能だ。
脆弱性の即時悪用に対抗するセキュリティ新機能
同社はセキュリティ分野の新機能も発表した。AIの進展により、脆弱(ぜいじゃく)性の発見から悪用までの時間が数週間から数分へ短縮されたとの認識を示し、防御体制の強化をする。
脆弱性対策機能「Live Protect」は、新たに「N9000」シリーズのスイッチに対応した。再起動やソフトウェア更新を伴わず、稼働中でも新たな脆弱性から製品を保護する。今後はキャンパス用スイッチや拠点用スイッチ、セキュアルーターへ対象を拡大する。
「Hybrid Mesh Firewall」はネットワークやアプリケーション、Cisco製および他社製ファイアウォールを横断した保護機能を提供し、障害や侵害発生時の影響範囲を抑制する。
AIエージェントのセキュリティも強化する。CiscoはRSACで発表した「AI Defense」、エージェント用ゼロトラスト、エージェンティックSOCなどの機能群を拡張し、AIエージェントの安全な利用環境を整備する。
「Harvest now, decrypt later」に備える耐量子暗号へのロードマップ
量子計算時代への備えも打ち出した。暗号化データを収集し、将来の量子計算能力で解読する「Harvest now, decrypt later」攻撃への対応として、主要製品群へ耐量子暗号技術を導入する方針を示した。
同社は2026年12月までに主力製品の大部分で量子安全通信機能を利用可能にする計画だ。新規投入するキャンパスや拠点、データセンター用のルーター、スイッチ、ファイアウォールには、耐量子暗号技術を利用したセキュアブート機能を標準搭載する。
Cisco IQには「Quantum Ready Assessments」を追加する。量子計算時代の攻撃に対し露出度の高い資産を特定し、対策の着手点を示す機能で、2026年7月の提供開始を予定する。また「Quantum Resilience Framework」を通じて、耐量子暗号への移行指針も提供する。
サービス分野では「Resilient Infrastructure Services」を発表した。リスク評価や基盤刷新、防御強化の3段階で構成され、先進AIモデルに起因する脅威への対応を支援する。
Cisco IQはCisco Cloud Controlへ統合され、AIを活用した支援サービス基盤として機能する。オンプレミス展開にも対応する他、匿名化データを利用したベンチマーク機能により、サポート終了リスクや脆弱性発生率などを同規模組織と比較できる。
Cisco Cloud Controlは米国で管理対象限定の提供を開始した。世界展開は今後実施する予定で、Quantum Ready AssessmentsとCisco IQ関連機能は、2026年7月のグローバル提供を見込んでいる。






