第79回カンヌ国際映画祭、「フィヨルド」がパルムドール受賞、日本映画も存在感
第79回カンヌ国際映画祭(5月12~23日)は、最高賞のパルムドールにルーマニアのクリスティアン・ムンジウ監督による「フィヨルド」を選んで幕を閉じた。社会の矛盾を踏み込んで問いかけたムンジウ監督作品の受賞は、世界が不安定に揺らぐ中で開かれた今回のカンヌを象徴していた。
一方で、日本の映画が大きな存在感を示した。女優賞には濱口竜介監督の「急に具合が悪くなる」に主演した岡本多緒、ビルジニー・エフィラがそろって選ばれた。ほかにも多くの日本人監督の作品が上映され、併設の見本市・マルシェでは日本がカントリー・オブ・オナーとなった。
現地を取材した記者が熱気に包まれた12日間を振り返る。
<主な内容>
・「正しさ」を問うた「フィヨルド」
・同性愛者たちを巡る表現も成熟
・敬意を持って認められる日本映画
多様性を目指す先進社会の不寛容さ
ムンジウ監督のパルムドール受賞は、2007年の「4ケ月、3週と2日」に次いで2度目。同賞を2度受賞した監督は、今村昌平、ダルデンヌ兄弟、ビレ・アウグスト、リューベン・オストルンドら10組しかいない。
賞レースの下馬評では最有力ではなかったものの、現代を鋭く見つめるムンジウ監督の受賞は納得の結果だった。
「フィヨルド」は、「正しさ」を問う物語だ。ルーマニアからノルウェーに引っ越してきた一家は、キリスト教福音派の教えに従い子どもを厳しくしつけている。しかし時に体罰を与えたことが虐待とされ、親子はノルウェーの児童保護担当者によって無理やり引き離されてしまう。
多様性を実現したはずの先進的な社会が抱える不寛容さ、排斥される少数派の存在を、戸惑い翻弄(ほんろう)される家族に託して描き出した。
ムンジウ監督は「我々が絶対に正しいと信じる何かでも、他人に押しつけてはならない。他者の価値観を否定するのではな…






