نظرة سريعة
松山市の道後温泉にある旅館「大和屋別荘」が所蔵する絵はがき7通が、夏目漱石の自筆のものであることが確認された。フランス印象派の名画の模写が官製はがきに描かれており、漱石の美意識や感性を知る貴重な史料と評価されている。
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夏目漱石は日本近代文学の巨匠。『吾輩は猫である』は代表作の一つ。
松山市の道後温泉にある老舗旅館「大和屋別荘」が所蔵する絵はがき7通が、文豪・夏目漱石(1867~1916年)の自筆のものだったと確認され10日、専門家らが発表した。フランス印象派のルノワールなどの作品を水彩絵の具で模写しており、専門家は「小説に本格的に取り組む前の漱石の美意識や感性が分かる貴重な史料」としている。
絵はがき7通には、ルノワールの「春の花束」や「カーニュのブドウ畑」、モネの「ボルディゲーラ」などの名画の模写が官製はがきに描かれている。漱石が小説「吾輩(わがはい)は猫である」を連載していた時期とも重なる1905年1月2日~06年4月13日付の消印がある。うち5通は漱石の著作の装丁を務めたことでも知られる橋口五葉(本名は清)宛て、残り2通は漱石が旧制第五高等学校(現熊本大)の教師だった時の教え子で、後に外交官になった五葉の兄、貢に宛てている。
大和屋別荘によると、漱石の絵はがきは創業者が30年以上前に購入し、その後旅館の廊下に飾っていた。漱石を研究する長島裕子・秀明大客員教授(日本近代文学)が、大和屋別荘のホームページに掲載されている写真を見て、「漱石全集」(岩波書店)にも収録されていない絵はがきと気づき、中島国彦・早稲田大名誉教授(同)と共同で調査を進めてきた。
中島名誉教授は「『草枕』など漱石の後の作品に反映された感性や美意識、絵画観を改めて考えるよすがになる」と評価する。長島客員教授は「この時期の漱石の自筆絵はがきは少なく、珍しい」とし、執筆活動で忙しい中、絵にも没頭していた様子がうかがえるという。
「吾輩は猫である」の冒頭には、主人の苦沙弥(くしゃみ)先生が絵に没頭する様子を語り手の猫が観察する一節もある。長島客員教授は「漱石にとって絵はがきは、重要な創作エネルギーの発出先で、小説にもにじみ出ているのが面白い」と語った。【武市智菜実】
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