نظرة سريعة
AIの進化により、経営者や個人に「本質的な問いを立てる力」「決める力」「人を動かす力」「責任を引き受ける力」の4つが求められる。AIに頼りすぎず、若手の「ボス力」育成には泥臭い経験と最適な配分が必要。労働移動の選択権は個人に移り、処遇の失敗が良い人材の流出を招く。
ملخص مُنشأ بالذكاء الاصطناعي
لماذا يهم
AIの進化により、従来の「いい大学に入り、いい会社に入れば安泰」という時代は終わりを迎え、経営者や個人に新たな力が求められている。AIは効率化に貢献する一方、人間の付加価値や「人間らしさ」の議論が重要になっている。
冨山氏: AIが面白いのは「人間がやらないといけないことは何か」を純化するところですよね。私が思うに、これからの経営者に求められるのは(1)本質的に大事な問いを立てる力、(2)決める力、(3)人を動かす力、(4)最後に責任を引き受ける力──の4つの力に収れんするような気がしています。
これは経営者に限った話ではありません。個人でも「自分はどういう生き方をすべきか」という問いを立てなければならないし、その中で自分の人生を選択し、決めなければならない。そしてそれを実際に実行しなければならないし、その結果を自分の人生として引き受けなければなりません。個人にも、この4つの力が鮮烈に問われているのです。
裏を返せば「偏差値の高い大学に入って、いい会社に入ったら、後の人生は安泰だ」という期待はできなくなってきた。こういう時代だからこそリベラルアーツを身に付けることが大切だと思います。
東原氏: AIはリベラルアーツを学ぶのには有効ですよね。何か困ったことが起きたら「過去に類似のものはないか」と歴史を探って、アナロジーから現代の課題へのヒントを得る、といった使い方をしたいときに、非常に便利じゃないですか。
冨山氏: まさに。ただ、それは東原さんが正しい問いを立てられているからであって、リベラルアーツが弱いと正しい問いを立てられないと思うんですよ。
片野坂氏: 日本のリベラルアーツ教育の問題もありますが、働き方改革で過度な残業抑制がされていることにも問題があると思っていて。これまで業務時間外で行われていた、暗黙知や日本ならではの技量を継承する時間が少なくなっている。通常の業務時間内では学べないものもたくさんあるのではないかと感じています。
冨山氏: 確かに。知識はAIが教えてくれるので、人間ならではの付加価値を生むという観点では、そうした知識以外のところをもっと大切にすべきなのかもしれません。
「AIに頼った仕事をさせていてはダメ」 若手の「ボス力」を鍛えるには
冨山氏: いわゆるジュニアトラップ問題ですね。おそらく今、ほとんどの仕事で同様の問題が起きていると思います。例えば、弁護士事務所やコンサルティングファームでは、国会図書館に行って調べ物をするような若手の仕事は、ぜんぶAIで済んでしまう。あるいはITでも今の若手エンジニアはAIにコーディングをさせて、自分の手は動かさない。たしかに効率的ではあるけれど、これでは足腰が弱くなるのは当然です。
東原氏: 言うなれば、私たちが本当に追求すべきものは「効率が良い/経済合理性が高い」だけで良いのか、という問いですよね。不自由が次の価値を生み出すこともありますし、人間の価値観なんて5年もあれば変わってしまいます。そのような中で「絶対にAIが完璧で最強だ!」とむやみに思い込んでしまって良いのか。私たちにしかできない「人間らしさとは何か」をもっと議論すべきなのだと思います。
片野坂氏: AIは、過去のデータは調べ尽くしているけれど、今に近づけば近づくほどデータが乏しくなっていきますよね。
冨山氏: AIができる仕事は、極めて標準的で、かつ二次情報に基づきます。つまり、急速に価値を失いやすい。ということは、AIができる仕事の大部分はコストサイドにあって付加価値を生みません。
逆に言えば、将来、付加価値を生み出す人材を育成したいなら、AIに頼った仕事をさせていてはダメなんですよ。たとえAIに置き換えられたとしても、幾分かの泥くさい仕事はさせておかないと。AIに頼らないで試行錯誤する経験は必須だと思います。
ただ一方で、日本企業は「昇進のペースがあまりに遅い」という問題があります。部下でいる時間が長すぎると、部下として適応・進化するので、上司の顔色をうかがう能力ばかりが高くなってしまう。そうすると“ボス力”が身に付かず、将来的にボスへの転換がなかなかできなくなるんですよ。
だからこそ、若手の育成においては、あえてAIを使わずに泥くさいことをさせる下積みの時間と、ボス力を身に付けさせる時間の最適な配分を、会社は考えていくべきだと思います。
いい人材が辞めるのは「処遇に失敗」した結果
冨山氏: ポートフォリオ経営でよくありがちなのは、成長分野が見つかったらそこに人を移して失敗するケースです。労働移動に関して東原さんはどうお考えですか?
東原氏: やはり一番大事なのは個人のモチベーションでしょう。
日立では1910年の創業以来「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」という企業理念を掲げており「今日の自分ががんばったことが、どう社会に影響を与えられたのか」といった社会とのつながりや社会貢献に、プライオリティを置いています。
そういう意味では「社員がどういうときに生きがいを感じているのか」「どうしたらモチベーションを上げられるのか」というのは、経営者がもっと考えないといけないところでしょうね。そうじゃないと、いくら会社の都合で「この事業に必要だから学び直せ」と言っても、うまくいかないですよ。
あと、労働移動に対する考え方で言えば、アルムナイをつくって、一度日立を辞めた人でもレベルアップしていれば、どんどん迎え入れるようにしています。自分のモチベーションによって出て行ける環境の方が、日本にとってもよろしいのではないかと思いますね。
冨山氏: 選択権は働く側に移っていますからね。よく「希望退職を募ると、いい人が辞めてしまう」という話を聞きますが、それはそれまでの処遇に失敗しているからなんですよね。その人が自分で思っている能力と地位が見合っていない。だから辞めたくなるんです。
出て行きたい人には気持ちよく出て行ってもらい、結果的にいい人が残ってくれるようにするのが、一番美しいじゃないですか。流動性は経営に緊張を生むので、私はいいことだと思っています。「最近の若い人はすぐ辞める」と嘆いている場合ではありません。
أسئلة مفتوحة
- AI時代における具体的な「人間らしさ」とは何か?
- 若手の「ボス力」を効果的に育成するための具体的な施策は?
- 労働移動を促進しつつ、優秀な人材の定着を図るための処遇の最適解は?
- リベラルアーツ教育の現状と、AI時代に求められる能力とのギャップは?






