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タイ国境のミャンマー人姉妹、摘発におびえながらも茶店を続ける日々
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毎日新聞1d agoWorld6 min readJapan

タイ国境のミャンマー人姉妹、摘発におびえながらも茶店を続ける日々

Quick Look

タイ北西部メソトで、ミャンマーのクーデター後、国軍の弾圧を逃れてきた姉妹が市場で茶店を営んでいる。警察の摘発におびえながらも、故郷を離れた人々の交流の場を提供し続けている。身分証の有無や営業許可の問題で度々拘束されるが、それでも店を開け続ける姉妹の姿を追った。

AI-generated summary

Why It Matters

2021年のミャンマー・クーデター後、国軍と抵抗勢力との戦闘が広がり、多くの人々がタイ国境へ逃れた。タイは難民条約を批准しておらず、新たな難民の受け入れに消極的である。

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タイ北西部メソトの市場は、昼間もひっそりとしていた。

店を閉じた区画が目立つ。その一角で、姉のタンダーさん(42)と妹のピョーさん(32)は、小さな茶店を営んでいる。

その日、近くのミャンマー人居住区で警察の摘発があったとの情報が流れた。姉妹は開店から2時間ほどで店を閉めたという。残った料理は持ち帰り、近隣の人々に配った。

翌朝、再び訪ねると、姉妹はまた鍋に火を入れていた。

ミャンマーでは2021年のクーデター後、国軍側と民主派の抵抗勢力、少数民族武装勢力などとの戦闘が広がり、内戦状態が続いています。戦闘や弾圧を逃れて国境を越えた人たちは、その後をどう生きているのか。タイ国境の町メソトとその周辺で、故郷を離れた後も続く人々の時間を追いました。連載「帰れないひとびと ミャンマー国境から」の4回目です。

魚のだしがきいた麺料理モヒンガー、麺サラダ、甘く濃いミャンマー風のミルクティー。周辺に暮らすミャンマー人が、一人、また一人と立ち寄った。軍事政権による弾圧や戦闘を逃れ、国境を越えてきた人もいる。

ミャンマーでは、こうした茶店は「ラペイエサイン」と呼ばれる。食事をとり、人々が言葉を交わす身近な場所でもある。

安全な場所なく

姉妹もかつてはヤンゴンで暮らし、会計や技術系の仕事に就いていた。2021年2月のクーデター後、軍政への抗議活動や民主派への支援に関わった。自宅を捜索され、家族の逮捕をほのめかす脅迫も受けたという。

翌年、メソトへ逃れた。

到着後しばらくは、タイで暮らすための書類を何も持っていなかった。警察を恐れ、近くのコンビニに行くことさえためらった。洗濯したロンジー(巻きスカート)を外に干せば、ミャンマー人が暮らしていると知られるのではないか。そんなことまで気にした。

生き延びるために始めたのが、市場の茶店だった。営業当初は、1日の売り上げが300バーツ(約1500円)ほどにしかならず、翌日の仕入れ代にも困った。

だが、店も安全な場所ではなかった。

タンダーさんによると、24年8月、警察が店を訪れ、客らとともに連行された。タイでの滞在や就労の足掛かりとなる身分証「ピンクカード」を持つ客は釈放されたが、タンダーさんは計16日間も拘束された。

収容先では床で寝るしかなかった。ぜんそくの持病があり、高熱やせき、下痢に苦しんだ。言葉の暴力や性的な嫌がらせも受けたという。

釈放後も恐怖は消えなかった。制服姿の警察官や警察車両を見ると、逃げ出したくなる。大通りを避け、細い路地を歩くようになった。

「自宅軟禁のようなものです」

家と店を往復するだけの日々を、タンダーさんはそう表現した。同じ言葉を、今回の取材で何度も聞いた。

タイは、難民の保護を定めた条約を批准していない。国境には以前から難民キャンプがあるが、クーデター後に新たに逃れてきた人々は原則として受け入れていない。

繰り返される摘発

姉妹はその後、仲介業者に金を払い、ピンクカードを得た。通常は7000~8000バーツ(約3万4000~3万9000円)程度だが、タンダーさんは過去の逮捕歴を理由に1万3000バーツ(約6万4000円)を請求された。

労働許可上、店はタイ人の名義で、姉妹は店の補助者として登録されていた。自ら飲食店を営業するには、別の許可が必要になるが、大家が必要な書類を出さず、まだ手続きを進められないという。

今年2月、姉妹は再び警察に拘束された。今度は2人ともピンクカードを持っていた。それでも、登録された仕事と実際の営業内容が異なるとして問題視された。

姉妹によると、周囲の人々から金を借り、計2万4000バーツ(約12万円)を現金で支払った。その日の夜に釈放された。

書類があれば、警察に連行される危険はいくらか減る。だが、自由に働き、安心して暮らせるわけではない。

姉妹の店には、手持ちの金が乏しい人もやって来る。国軍と戦った元兵士らが食事を頼み、「後で払う」と言って食べる若者もいるという。

「店を閉めたくない」

摘発におびえながら続ける茶店は、もう自分たちだけの店ではなくなっている。【メソトで小泉大士】

◆海外難民救援金募集

毎日新聞社と毎日新聞東京・大阪・西部社会事業団は、紛争や災害、貧困などで苦しむ世界の人たちを支援する救援金を募集しています。

◆連載「帰れないひとびと ミャンマー国境から」

▽戦火逃れ川辺の教室へ ミャンマー国境 学び続ける子どもたち

▽川を越えても終わらぬ避難 国境の町メソト 続く仮の暮らし

▽逃れた先にも「医療の空白」 国境の診療所 命つなぐ橋に

▽元入管職員が「書類」のない避難者に 仮の暮らしは4年に

▽「学校」になれない学校 国境の町 戦火逃れた子ども受け入れ(28日午前5時)

▽軍を抜け、徴兵を逃れ その先に日本 タイ国境で学ぶ若者たち(29日午前5時)

▽川の手前で宙づりの日々 食料尽きれば危険地へ(30日午前5時)

▽カヤー州に逃れた避難民 目の前で吹き飛んだ義弟(30日午前5時)

Open Questions

  • 姉妹は今後、合法的に就労できるのか
  • タイ当局による摘発は続くのか
  • ミャンマー難民の将来はどうなるのか

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This article was originally published by 毎日新聞.

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