Quick Look
かんぽ生命は、AIエージェントを活用し、顧客との「対話の温度」を深める営業改革に着手。コンサルタントが情報整理に費やす時間を顧客との対話に転換し、信頼関係の維持・深化を目指す。AIは指示なしで状況を読み取り自律的に判断・実行する。
AI-generated summary
Why It Matters
人手不足が進む中、営業現場でのAI活用が求められているが、成功事例は少ない。かんぽ生命は、顧客との長期的関係を強みとする保険業界でAIエージェントの活用に乗り出した。
「営業活動にAIを活用せよ」といわれて久しい。人手不足が進む現在、対面営業の現場でAIをどう生かすかが問われている。しかし“営業改革”につながるほどのAI活用に成功している企業は少ない。
そんな中、かんぽ生命保険(以下、かんぽ生命)がAIエージェントの活用に乗り出した。保険商品は、契約から満期まで数十年にわたる長い付き合いになる。同社は、全国2万局の郵便局と1万人の保険コンサルタントが顧客と直に交わす「対話の温度」を最大の強みとしてきた。
同社の谷垣邦夫代表執行役社長は「AIは、温度を消すものではなく深めるもの」と語る。かんぽ生命は、営業フローの中にAIエージェントを見事に組み込んでみせた。郵便局で交わした何気ない一言を次の提案に生かし、担当者が代わっても親から子へと信頼を受け継ぐ――これは、保険商品に限らず多くの営業現場で求められる姿だ。
「AIエージェントの活用」と聞くと“大規模な業務変革”をイメージするかもしれないが、かんぽ生命は少し違う。セールスフォース・ジャパン主催のイベントで披露したデモンストレーションに、エージェント活用の現実解があった。
1700万人に保険提供 担当者は面談準備に奔走
かんぽ生命は、2026年に創業110周年を迎える。全国の郵便局網を通じて、1700万人もの顧客との信頼を築いてきた。生命保険は短くても10年、長ければ50~60年にわたって続く商品だ。世代をまたいで関係を引き継ぐケースもある。しかし、保険コンサルタントは案件情報の整理や面談準備に追われ、顧客と向き合う時間が圧迫されがちだった。
この状況を打開する方法として、同社はAIエージェントに白羽の矢を立てた。人間のコンサルタントをAIに置き換えるわけではない。谷垣社長は、AIで生まれる時間の使い方について「コンサルタントが情報整理に費やしてきた時間を、お客さまと向き合う時間へと転換したい」と語る。
AIエージェントとは、逐一指示しなくても状況を読み取り、自ら判断して作業まで実行するAIを指す。決められた応答を返す従来のチャットbotと異なり、目的に向けて自律的に動く。同社は、AIエージェントをどう活用しているのか。
AIエージェントがどう役立つ? “寸劇”で分かる活用例
AIエージェントを生かした業務のデモンストレーションは、かんぽ生命のコンサルタント「星野さん」の1日から始まった。朝、星野さんが業務チャットツール「Slack」を開くと、その日の予定と優先すべきタスクが一覧で表示される。その日の面談相手は、顧客の和夫さん(70歳)。
What to Watch
AI outlook — possibilities, not facts
かんぽ生命はAIエージェントの活用範囲を拡大し、他部門へ展開する可能性がある。
Likely · Medium term
Open Questions
- AIエージェント導入による具体的なコスト削減効果は?
- 顧客のプライバシー保護への配慮は十分か?
- 他の保険会社や業界への波及効果は?






