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Backカクヤス、30年前の基幹システムを生成AIで刷新へ - 450人月の解析を2カ月で完遂
カクヤス、30年前の基幹システムを生成AIで刷新へ - 450人月の解析を2カ月で完遂
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ITmedia2h agoBusiness6 min readJapan

カクヤス、30年前の基幹システムを生成AIで刷新へ - 450人月の解析を2カ月で完遂

Quick Look

酒類販売のカクヤスが、約30年前に構築された基幹システムの刷新に生成AIを活用。450人月かかるとされた解析作業を2カ月で完了し、開発画面数を大幅削減。経営層の覚悟と現場のAI活用がDXを推進する。

AI-generated summary

Why It Matters

カクヤスの約30年前の基幹システムは、VB.NETとOracle DBで構築され、保守ベンダー依存が常態化。2025年時点で「触れない」「読めない」「直せない」状態に陥っていた。

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石井氏は「『動いているシステムは健康だ』とは考えていない」と、刷新の出発点にある認識を示した。

カクヤスの基幹システムが稼働したのは約30年前。米Microsoftが開発したプログラミング言語「VB.NET」と米Oracleによるデータベースシステムで構築された、酒類卸に最適化されたシステムだった。長く安定して稼働し続けた一方、建て増しを重ねた結果、2025年時点で「触れない」「読めない」「直せない」状態に陥り、保守ベンダーへの依存が常態化していたという。

基幹システムの刷新に当たり石井氏が直面したのは、30年という歴史の大きさだった。開発フォームは2200画面、データベースは3000テーブル、ストアドプロシージャ(ストアド:業務処理を担うプログラム)は1200本に上った。

増改築の果てに、今や全体を把握する社員はいない。設計書も失われ、システムを解析しようにも人手で450人月(延べ450人で1カ月分)かかる。現実的な期間での刷新に暗雲が垂れこめる中、タイムリミットは2年後に迫っていた。

さらに致命的だったのが、システムの検証環境が本番環境と一致しないという事実だ。本番環境は24時間365日止められず、30年分のパッチが層をなす。一方の検証環境は古いままで、外部連携も停止しており、完全なテストができない。石井氏は「これは設定ミスではなく、30年の堆積が生んだ構造的な課題だ」と指摘する。

450人月の作業を2カ月で AI駆動開発の成果

こうした状況を、ひとまいるは「AI駆動開発」と「業務駆動開発」の2本立てで突破した。

AI駆動開発では、1200本のストアドをAIに読み解かせた。米Anthropicのコーディング支援AIツール「Claude Code」を、米Amazon Web Servicesの生成AI基盤「Amazon Bedrock」で動かした。さらに本番環境をクラウド上に再現し、新旧の挙動を突き合わせる「現新比較」の環境を整えた。これにより、450人月とされた解析作業を、約2カ月で完遂したという。

業務駆動開発は、AIが読み解いた結果を現場の言葉に翻訳する作業だ。営業・商品・店舗・物流・経理の各部門から人を出し、業務フロー単位で1200本のストアドに意味付けし、必要な機能と不要な機能を仕分けた。「AIだけでも、現場だけでも進まなかった」と石井氏は振り返る。

その成果は、開発フォームの画面数に表れた。重複や使われていない画面を整理し、2200あった画面を、業務に必要な約800画面へと絞り込んだ。さらに200画面分を業務フローとして再定義した。石井氏は「単なる機能削減ではない」と強調する。物流業として必要な機能だけを選び直す作業だという。

AI開発の時代、現場に聞くべき「5W2H」とは

もっとも、AI活用は平たんではなかったという。石井氏が痛感したのは「AIには癖がある」という現実だ。「AIは何でも覚えている」という前提で取り組み始めたが、実際にはすぐに忘れる。そこで「記憶」を補強。AIに思い出させ続ける仕組みや、参照すべきルールを外部ファイルに置く工夫を重ねた。プロジェクト初期に「AIに任せれば自動で片付くわけではない」という教訓を得た。

そこで、AIを制御する技術を確立した。AIに作らせるだけでなく、作ったものを説明させて検証させる。AIに役割や経歴を与えて思考の土台を定める。さらに、コードを書かせるためのプロンプトをいきなり作らず、業務要件を基に「プロンプトを生成するためのプロンプト」を作る2段階方式に切り替えた。石井氏は「記憶・ルール・人格・2段階設計こそ、現場の最大の発明だった」と語る。

ここで浮かび上がるのが、要件定義の重要性だ。AIがコードを書く時代、品質を左右するのは「何を作るかを言語化する工程」に移る。曖昧な依頼では、AIも曖昧な成果物を返す。同社は、現場の依頼を「5W2H」(Who、What、Why、When、Where、How、How much)で構造化し、依頼者に確認すべきことを整理した。

覚悟決めた経営層、これから変わる現場 「差」をどうみるか

石井氏が強調したのは、経営層と現場の「距離」だ。経営層はすでに後戻りできない決断を済ませている。持株会社の社名を変え、物流業への転換を宣言した以上、撤回はできない。一方、基幹システムの刷新は800画面、200業務フローで進行中だ。現場の変化もまだ局所的にしか表れていない。つまり、経営層の覚悟だけが大きく先行している。石井氏はこうした差をむしろ推進力と捉え「ズレが大きい間は、改革は加速する」とみる。

目指す先は、物流データ自体を商品とする組織であり「AIを使う組織から、AIと考える組織へ」の転換だ。石井氏は「変化し続ける覚悟を持った」と述べて「DXは到達点ではない」と続けた。創業100年の老舗が選んだ生成AIによる「転生」は、痛みを伴いながら、まだ始まったばかりである。

What to Watch

AI outlook — possibilities, not facts

  • カクヤスはAIと共考する組織へ転換し、物流データ自体を商品化する。

    Likely · Long term

Open Questions

  • 現場社員のAIリテラシー向上策は?
  • 刷新後のシステム保守体制は?
  • 他社へのAI駆動開発の展開は?

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This article was originally published by ITmedia.

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