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なぜ今「AIの制御塔(Control Tower)」が必要なのか
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ITmedia6/10/2026Tech9 min readJapan

なぜ今「AIの制御塔(Control Tower)」が必要なのか

Quick Look

ServiceNowは、AIエージェントのオーケストレーションとLLM統合管理を行う「AI Control Tower」を発表。顧客のAIに対する不安に応え、CMDBの知見を応用。AI Specialistによる業務効率化と、Armis、Vesa、Moveworks買収による戦略的強化も進める。

AI-generated summary

Why It Matters

ServiceNow is enhancing its AI capabilities with the introduction of 'AI Control Tower' and 'AI Specialist'. These initiatives aim to address customer concerns about AI management, security, and efficiency. The company has also made strategic acquisitions to bolster its AI strategy.

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なぜ今「AIの制御塔(Control Tower)」が必要なのか

――カンファレンスでの目玉の一つであり、今後のServiceNowの方向性を決定づけているのが「AI Control Tower」だ。なぜこの分野を手掛ける判断をしたのか。

ザヴェリー氏: AI Control Towerは、複数のAIエージェント間のオーケストレーションを担い、複数のLLM(大規模言語モデル)を統合管理する。エージェントが期待通りの結果を出すことを保証しながら、エンタープライズに求められるセキュリティとコンプライアンスを維持する仕組みだ。

2024~2025年から顧客の声が変わってきた。「AIが何をしているか、把握する手段がない」「AIの挙動を誰も制御できていない」「どんなセキュリティリスクがあるのか分からない」「全体の状況が全く見えない」という不安が次々と出てきた。

そこで、ServiceNowがCMDB(Configuration Management Database:構成管理データベース)で長年培ってきたアプローチを応用できると考えた。CMDBはハードウェアやソフトウェアの資産を一元管理する。AIエージェントも「ソフトウェア資産」の一つだ。どう検知し、どう監視し、どう管理するか。この発想の延長でAI Control Towerを構築した。実際に、CMDBのメリットを感じている顧客はすぐに理解してくれた。

企業の負担をなくす「AI Specialist」の仕組み

――「Autonomous Workforce」(AI社員)および、それに含まれる役割ベースのAIである「AI Specialist」も強化している。どのような世界を描いているのか。

ザヴェリー氏: HRやIT、カスタマーサービスなど業務領域ごとに約20種類のAI Specialistを用意している。通常であれば人間が2日かかる処理を20分で完了できるものもある。

AI活用を推進するためには、従来のアプローチでは企業が多大なコストと労力を強いられた。AIのパーツを自分で調達し、組み合わせ、テストし、デプロイしなければならない。しかもそれで終わりではない。AI技術は急速に進化しており、デプロイした翌日には新しいモデルや手法が登場する。その変化を追い続けながら、セキュリティやコンプライアンスも維持しなければならない。これはほとんどの企業が望む姿ではない。AI Specialistはその発想を根本から変える。

ITチケットの対応であれば、レベル1からレベル3のサポートエンジニアに相当するスキルを持つAI Specialistが、管理コンソールに自動的に表示される。担当者はそこから必要なAI Specialistを選んで追加するだけだ。新たなプラットフォームの導入や複雑なアーキテクチャ設計は不要で、数週間で稼働できる。

われわれも社内で検証している。そこから得た教訓の一つが、「最初から広げすぎない」ことだ。まず社内で最も多く寄せられる問い合わせや依頼を洗い出し、上位4~5件に絞り込む。そのユースケースに限定してAI Specialistを徹底的にチューニングし、解決率がどれだけ上がったかをメトリクスで確認する。土台ができてから対象を広げていく。この順序を守ることが定着につながる。

3社の戦略的買収でそろった「必要なピース」

――Armis、Vesa、Moveworksという3件の買収が相次いた。それぞれはどのような位置付けか。

ザヴェリー氏: いずれも、AI戦略の「穴」を埋めるための買収だ。

Armisは、IoTデバイスやOTデバイス、医療機器など、IT以外の物理的な資産のサイバーセキュリティを専門とする。ServiceNowのCMDBと統合することで、ITとOTの資産を一つのスタックで可視化、管理できるようになる。製造業の多い日本をはじめ、規模の大きなOT環境を持つ企業にとっては特に重要な組み合わせになる。買収が完了したばかりで、現在CMDBおよびOT、ITシステムへの統合を進めているところだ。

Vesaは、AIエージェントのアイデンティティーガバナンスに特化している。AIエージェントが増え続ける環境では、「何が、どの権限で、何をするか」の管理が極めて重要になる。VesaはすでにAI Control Towerに統合済みで、稼働を開始している。

「MoveWorks」はAIネイティブの従業員体験ソリューションだ。これまでITはIT部門、HRはHR部門とバラバラに問い合わせる必要があった。MoveWorksの統合により、従業員が部門をまたいで一カ所から質問、依頼でき、その場で解決される体験を実現する。

「必要なものはそろった」というのが正直な認識だ。今後も小規模な買収は続けるが、大型の買収を急ぐつもりはない。

――AnthropicやOpenAI、Google、Microsoftなど、競合になり得る企業とも提携している。「誰でもウエルカムだ」と基調講演で述べたが、このようなオープン戦略と競合のバランスをどのように捉えているか。

ザヴェリー氏: ソフトウェア業界は昔からそういうものだ。どの企業とも競合でもあり、パートナーでもある。

重要なのは役割の違いを理解することだ。これらの企業は「テクノロジーを作る」のが得意だ。しかし、そのテクノロジーをエンタープライズの現場で機能させる「ソリューション」を作るのはわれわれだ。彼らはその点でServiceNowを必要としている。エンタープライズ顧客はわれわれのプラットフォームを使っており、彼らはその顧客に届けるためにServiceNowと組みたいと考えている。

「AIがServiceNowを置き換える」という議論もあるが、現実は逆だ。OpenAI、Google、Anthropicといった企業がわれわれのもとに来て、一緒にやろうと言っている。

「月次リリース」への移行がもたらす顧客の選択肢

――2026年4月に月次リリースへの移行を発表した。顧客への影響をどうみているか。

ザヴェリー氏: 今回のリリース変更の根底にある考え方は「顧客に選択肢を与える」ことだ。月次リリースを望む顧客はそれを選び、引き続き6カ月サイクルを望む顧客はそれも選べる。われわれがリリース頻度を決めるのではなく、顧客が自分の環境に合わせて判断する。

新機能を開発しても、半年ごとのリリースを待たなければ顧客に届けられない――そこに合理性はないと考えた。一方で、安定性を最優先にしたい顧客がいることも理解している。月次でリリースしながら、6カ月分をまとめたパッケージ更新も継続する。この両立がソリューションを提供する側の責任だと考えている。

――最後に、AI導入を検討している日本企業へのアドバイスを。

ザヴェリー氏: まず、AI技術を単独で買おうとしないことだ。安全で信頼性の高いプラットフォームから始めること。これは特に、製造業やインフラ企業など、OT環境を抱える組織にとって重要だ。

可視性と制御――この2つが、企業におけるAI導入の出発点だ。自分のAIエージェントが何をしているかを把握し、制御できるという確信がなければ、どれだけ優れたAI技術も現場では機能しない。AI Control TowerとArmisの組み合わせから始めることを、多くの顧客に勧めている。技術変革の速さが増す中で、最も重要なのは「速さ」ではなく「信頼」だ。

What to Watch

AI outlook — possibilities, not facts

  • ServiceNow will successfully integrate Armis's technology into its CMDB, providing unified IT and OT asset visibility.

    Likely · Medium term

  • The monthly release cycle will be adopted by a significant portion of ServiceNow's customer base, offering more flexibility.

    Likely · Medium term

  • ServiceNow's partnerships with major AI tech companies will deepen, leading to more integrated solutions.

    Very likely · Long term

Open Questions

  • What are the specific metrics for success for the AI Specialist in different business domains?
  • How will the integration of Armis's OT security into ServiceNow's CMDB be implemented technically?
  • What are the long-term implications of ServiceNow's open strategy with AI tech competitors?
  • How will the monthly release cycle impact existing ServiceNow customers' IT operations and change management processes?

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This article was originally published by ITmedia.

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