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東京医科大の志村哲祥教授は、思春期の子どもの多くが「遅寝遅起き」の夜型であると指摘。短い睡眠は子どもの心身の発達に悪影響を与え、日本人の平均睡眠時間が世界で最も短い現状にも言及し、睡眠研究の重要性を語る。
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Why It Matters
子どもの頃の「早く起きなさい」という叱責経験は多くの人が持つ。しかし、思春期の子どもの多くは「遅寝遅起き」の夜型であると東京医科大の志村教授は指摘する。
夜はなかなか寝付けず、朝は布団から出られない。そうこうしているうちに「早く起きなさい」と怒られる――。子ども時代にそんな経験をした人は少なくないだろう。「早起きは三文の徳」と広く言われるが、東京医科大睡眠学講座客員教授の志村哲祥さんによると、実は思春期の子どもたちの大半は「遅寝遅起きの夜型」なのだそう。どういうことなのか。【聞き手・井川加菜美】
――睡眠の研究に取り組むきっかけを教えてください。
◆医学部で学んでいた大学時代、進路を考えた際に思い浮かんだのが「日本は世界でも睡眠時間が短い国」ということでした。経済協力開発機構(OECD)の2021年の調査でも、日本人の平均睡眠時間は7時間24分と世界33カ国中で最も短いことが明らかになっています。
医師法の第1条には「医師は、医療及び保健指導をつかさどることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保する」と書かれています。
実は医者の一義的な仕事は、病気を治療する前に、いかに皆を健康な状態にしておくかという「健康づくり」や「予防」なのです。睡眠はさまざまな病気の原因になる一方、予防にもなる。日本における睡眠の医療や研究は多くの人の健康づくりにつながるのではないか。そう考えて、自分の職業人生は睡眠にフォーカスしようと決めました。
理由はもう一つあります。実は私も早寝早起きができず、かなり苦労をしてきました。特に高校生の頃は、夜に布団に入っても全く寝られない。ようやく寝たら今度は朝起きられないという状態でした。大学時代に睡眠研究の第一人者・井上雄一氏と出会って人間の「体内時計」をはじめとした睡眠の仕組みを知りました。個人的な経験と学問としての興味が深く結びついたということも睡眠の研究に取り組む理由です。
――4月に刊行した新著「寝た子は起こすな」では、人間に備わる体内時計の中でも睡眠と関係の深い「概日(がいじつ)リズム」について紹介しています。
◆人間の体はさまざまなリズムを持っています。例えば、女性の月経のように約1カ月周期もあれば、約90分という短い周期もあります。同じように約24時間の周期で生じる生理現象のことを「概日リズム(サーカディアンリズム)」といいます。
この概日リズムの周期は厳密には一人一人違います。この周期に合わせて睡眠のリズムもずれていきます。いつ眠り、いつ起きるか、いつ体のエンジンがかかるのかは個人差があるのです。
概日リズムは年齢によっても変わります。同じ人でも基本的に乳幼児期は朝型で、思春期で夜型になり、そして思春期が終わればまた朝型に戻るのです。
――思春期の子どもは基本的に夜型ということですね。睡眠と子どもとの関わりについて、現在はどのようなことが分かっているのでしょうか。
◆まず第一に、思春期に限らず短い睡眠は子どもの心身の健康と発達に著しい悪影響を与えます。
Open Questions
- 思春期の子どもの睡眠不足が具体的にどのような悪影響を与えるのか?
- 夜型から朝型への移行を促す方法は?






