
三菱ケミカルは、AI半導体の高密度化による発熱増加とパッケージの反りを抑える負膨張フィラー「M-Filleris NTE」を開発。室温~400度の広い温度範囲で負膨張性を持ち、エポキシ樹脂とのシナジーも狙う。第1四半期は半導体関連需要の旺盛さなどで増益。
AI-generated summary
AIの普及により半導体の高性能化が進む中、チップレットや3Dスタッキングなどの技術で高密度化が進んでいるが、それに伴う発熱増加とパッケージの反りが課題となっている。
AIが普及したことで、AIの計算を支える半導体は高性能化が進んでいる。半導体メーカー各社は、複数のICチップを組み合わせる「チップレット技術」、ICチップや回路を積み重ねる「3Dスタッキング技術」などを活用して、半導体チップの高密度化に取り組んでいる。
しかし、三菱ケミカルによると「チップの高密度実装による発熱増加が課題となっている」という。一般的な物質は、加熱すると体積が膨張する性質がある。これにより、半導体パッケージに「反り」が生じてしまう。
反りを抑制するため、製造時に「フィラー」と呼ばれる充填(じゅうてん)剤を加えていたが「近年はその充填量も限界に近づいている」(三菱ケミカル)という。
三菱ケミカルの新材料 「熱問題」をどう解決?
こうした課題に対応するため、三菱ケミカルが開発したのが負膨張フィラーだ。負膨張、つまり加熱すると体積が収縮する性質を持つ。同材料を使うことで、半導体パッケージの反りやズレを抑えられるという。
同社が長年培ってきた無機材料の設計技術を生かした。三菱ケミカルは「従来の負膨張材料で課題だった、使用温度範囲の狭さ、非球形、高比重、高吸水性等を克服し、半導体パッケージ用途への適用を可能とした」とする。
同社は、半導体用途の例として「封止材料向け」「絶縁材料向け」「基板材料向け」「感光性材料向け」などを挙げている。
開発した負膨張フィラーは、室温~400度の広い温度範囲で負膨張性を持ち、比重は従来の一般的な半導体向けフィラーと同等だという。
既存事業とのシナジーを出せるか
三菱ケミカルは、開発した負膨張フィラーを「M-Filleris NTE」というブランド名で展開する。「M-Fillerisシリーズ」として、他の機能性フィラーもラインアップに加える予定だ。
既存事業である「エポキシ樹脂」とのシナジーも狙う。M-Filleris NTEは、エポキシ樹脂と混ぜた場合に「優れた熱膨張低減効果」(同社)を生むといい、フィラー単体だけでなく、エポキシ樹脂と混練(異なる材料を混ぜ合わせ練り込む作業)して提供することで、顧客の材料設計や開発期間を短縮したい考えだ。
同社は「AI・データセンター需要の拡大に伴い成長が期待される半導体材料市場において、新たなソリューションを提供する」とコメントを発表している。
三菱ケミカルグループは、2027年3月期通期で売上収益3兆8000億円、純利益1270億円を見込んでいる。同第1四半期の売上収益は1兆42億円。純利益は577億円で、前年同期比で381億円の増益だった。好調な要因として、同社の木田稔CFO(最高財務責任者)は「半導体関連製品の旺盛な需要」「中東情勢を背景とした顧客側での在庫確保による販売数量の増加」「ナフサ価格上昇に伴う在庫評価益」を挙げている。
AI outlook — possibilities, not facts
M-Filleris NTEが半導体封止材料市場での採用が拡大し、三菱ケミカルの材料事業の売上に寄与する
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