AIエージェント導入と業務プロセス再設計の課題:日本IBMが示すロードマップと現状
Quick Look
日本IBMは、AIエージェントの導入に伴い業務プロセスの再設計が重要だと主張。IBM内部では490業務を分解し70を再設計、4000以上のAIエージェントで約45億ドルの生産性向上を達成。しかし業務を再設計してAIを全社展開できている企業は15%にとどまり、川上結子氏はこれを「AI格差」の壁と指摘。4段階の課題解決を提案するロードマップと、記者会見での質疑応答を紹介。
AI-generated summary
Why It Matters
AI導入において単なるツールの導入ではなく業務プロセスの再設計が必要だという指摘は、DXや働き方改革の文脈で長らく繰り返されてきた。実際に変革に成功した企業は少なく、AI時代においても同様の課題が顕在化している。
AI活用の文脈で、よく耳にする“アドバイス”がある。
「AIをただ導入しただけでは、期待する成果が出ない。業務プロセスを再設計し、全社横断で変革に取り組むことで、競争力を強化できる」――こんな論説に聞き覚えがある読者も多いだろう。
この内容は、DXの指南記事、働き方改革セミナー、経営本などAIテーマに限らず至るところで登場している。「業務プロセスの再設計が必要だ」と長らく指摘されてきたが、実現できた企業はそう多くないはずだ。
そうした中で今度は、AIエージェントの導入が広がるのに合わせて「業務プロセスの再設計」が注目されている。日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)の早川勝氏(執行役員 CAIO兼CTO)は8月25日、AI基盤に関する記者会見で、AIの価値を享受するポイントとして「AIと協働する前提で仕事そのものを作り変え、企業全体で運営し続ける能力」が重要だと語った。
日本企業は、今度こそ業務プロセスを変革させられるのか。そのために必要なものとは何なのか。日本IBMが示すロードマップと、それに対する質疑応答の一部を紹介する。
「業務を再設計してAI導入」 成功企業は15%だけ
日本IBMと米IBMは、自社内でAIエージェントを活用した「業務の変革」「経営の高度化」に取り組んでいる。IBM社内の業務を490に分解し、そのうち70の業務プロセスをAI前提のものに再設計した。4000以上のAIエージェントが人事、ITシステム、顧客対応などの領域で稼働しており、生産性の向上の効果は約45億ドルに上るという。
IBMの調査によると、業務を再設計してAIを全社展開できている企業は15%にすぎないという。日本IBMの川上結子氏(常務執行役員 成長戦略統括事業部長)は「AIを作り、使う方法はもう知られている。それでも、経営成果に届いた企業は少ない。ここが乗り越えるべき『AI格差』の壁だ」と指摘する。
この壁を乗り越えるため、川上氏は4つの段階を追って課題を解決することを提案する。
「ROI(投資利益率)を上げるための課題は、AIを組み込む際に業務プロセスを再設計していないことだ。個別の業務ごとにAIが乱立すると、業務全体の再設計はかえって遠ざかってしまう」(川上氏)
IBMは、業務を作り変えるためのAIプラットフォーム「IBM Enterprise Advantage」をマネージドサービスとして提供している。前述した1~4の各工程に応じたサービスがセットになっており、例えば業務の再設計を支援するサービス「Process Studio」では、既存の業務手順書を分析してエージェント型ワークフローに再設計できるという。
「AI時代、業務の再設計が必要」 それ、本当にできる?
日本IBMが提唱した「業務プロセスの再設計」について、記者会見では報道陣から鋭い質問が飛んだ。
――日本企業はこれまで、DXやBPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング:業務改革)などに取り組んできた。「業務プロセスを変えなくては」という思いはあっても、何もできず今に至っている。それでもやはり、AI領域でも「プロセスを変えよう」という話になる。今までできなくて、これからはできるのか。
What to Watch
AI outlook — possibilities, not facts
業務プロセスの再設計を伴うAI導入が、今後数年で日本企業の競争力の重要な分かれ目になる
Likely · Within months
Open Questions
- 日本IBMが提案する4段階の課題解決プロセスの具体的内容は何か
- IBM Enterprise AdvantageとProcess Studioの実際の導入事例と効果はどのように測定されているか
- 業務を再設計してAIを全社展開できている15%の企業の共通点は何か
- 日本企業が過去のDXやBPRで変革に失敗した要因と、今回のAI時代での違いは何か



