ServiceNowの「Autonomous Security」戦略:CMDB、ワークフロー、AIの統合によるセキュリティ運用の自動化
Quick Look
ServiceNowは、CMDB、ワークフロー、AIを統合した「Autonomous Security」プラットフォームを発表。ArmisとVezaの買収技術を活用し、IT・OT・IoT資産の可視化とAIエージェントによる自動対応を実現。既存のEDR/SIEMを置き換えず、オーケストレーターとして機能すると説明。日本市場ではNIST CSF 2.0にマッピングし、製造・金融など重要インフラをターゲットに据える。
AI-generated summary
Why It Matters
ServiceNowはITサービス管理(ITSM)分野で知られる企業だが、近年はセキュリティ市場への参入を強化。CMDBを基盤とする資産管理とワークフロー自動化の強みを活かし、セキュリティ運用の統合プラットフォームを提供しようとしている。
ServiceNowが挙げる答えは、CMDB(構成管理データベース)を中心とした資産管理とワークフロー、AIの3要素を単一のプラットフォームで統合している点にある。
同社の村上慎吾氏(執行役員 ソリューション営業統括本部 統括本部長)は「CMDBとワークフロー、AIの3つの要素は、どれか1つでも欠けては機能しない」と語る。AIだけを導入しても、CMDBがなければビジネス上優先すべき資産を判断できない。CMDBがあっても、ワークフローがなければ対処が現場任せの手作業になり、一貫した運用を継続できないという理由からだ。
具体的には、EDR(Endpoint Detection and Response)やSIEM(Security Information and Event Management)といった各ツールが検知した情報をCMDBに自動統合し、どの資産か、誰が所有するか、どの事業に影響するかという文脈に翻訳する。その情報を基に対処の優先順位を自動で算出し、ワークフローで検知から対応、解消、証跡の記録までを一貫して管理する。定型的な対応はAIに委ね、人間は戦略的な判断に集中する分担だ。
検知範囲を広げる役割を担うのが、買収で取り込んだ2社の技術だ。サイバーエクスポージャー管理を手掛けていたArmisは、IT資産に加えてOTやIoT、医療機器までをエージェントレスで検出する。買収額は77.5億ドルで、2026年に統合を完了した。アイデンティティセキュリティのVezaは、人やマシン、AIエージェントが実際に持つ権限をマッピングし、非人間アイデンティティ(NHI)の統制を支える。
原智宏氏(専務執行役員COO)は、これらを束ねる考え方として「Shift Zero」を挙げた。管理外の資産やブラインドスポット、統制されていないAIエージェントといった攻撃の起点を限りなくゼロに近づける発想だ。AIをセキュリティ運用に生かす「AI for Security」と、業務に導入したAI自体を守る「Security for AI」の2つのアプローチを組み合わせる。
Shift Zeroを支える6つのソリューション
Autonomous Securityは、以下の6つのソリューションで構成されている。
6つのソリューションの大半の機能は提供中だ。同社が「AIスペシャリスト」と呼ぶ、セキュリティワークフローを自律的に完結させるAIエージェント群のうち、「Tier 2 SOC AIスペシャリスト」や「脆弱性解決(Vulnerability Resolution)AIスペシャリスト」など4機能は2026年12月に提供を開始する予定だ。
既存のEDRやSIEMは置き換え不要
質疑応答では、多機能なソリューション群をどこから導入すべきか、既存ツールとの関係をどう考えるべきかという質問が出た。原氏は、既にServiceNowでITサービス管理や資産管理を運用し、CMDBを整備済みの企業が最初のターゲットだと答えた。既存の資産データベースにセキュリティの文脈を加えることで、少ない負担で運用を始められるためだ。
「既存のセキュリティソリューションを全て置き換える必要はない。ServiceNowは、点在するEDRやSIEM、セキュリティセンサーといった既存のツール群から得られるシグナルを統合し、CMDBとひも付けて部門横断で対処していく、全体のオーケストレーターとしての役割を果たす」(原氏)
日本市場の戦略について村上氏は、NIST(米国国立標準技術研究所)のサイバーセキュリティフレームワーク「NIST CSF 2.0」に同社のソリューション群をマッピングして見せた。「統治」「識別」「防御」「検知」「対応」「復旧」の6つの中核機能全てをカバーすると説明する。重点業界には、IT以外の資産を大量に抱える製造や金融、流通、電力などの重要インフラ企業を挙げた。
パートナー戦略では、既存のコンサルティングファームやシステムインテグレーターとの協業をセキュリティ領域に広げるとともに、セキュリティ専業ベンダーやSOC(Security Operation Center)運営企業との新たな連携網を構築する。
What to Watch
AI outlook — possibilities, not facts
ServiceNowの『Tier 2 SOC AIスペシャリスト』および『脆弱性解決(Vulnerability Resolution)AIスペシャリスト』が2026年12月に提供を開始する
Very likely · Within months
Armisの買収(77.5億ドル)およびVezaの買収が、ServiceNowのセキュリティ製品ラインナップに完全統合される
Likely · Within months
Open Questions
- Autonomous Securityプラットフォームの具体的な価格体系は何か?
- 既存のServiceNow顧客以外への導入ハードルはどの程度か?
- AIエージェントの誤検知や過剰対応への対策はどのように行われるか?
- パートナー戦略における報酬モデルや技術認定プロセスはどのように設計されるか?






