
板野氏は生成AI時代の人材育成について、従来の下積み方式では対応できず、早く広く深く業務を経験させる必要性を指摘。AIをツールとして使うのではなく、人間が壁打ちの相手になるべきだと強調。DX戦略の本質は効率化ではなく可視化であり、そこから生まれる「気付きの種」に対する個人の創造性が発揮されることが重要だと説く。旭酒造やスーパーマーケットの事例を挙げ、デジタル化は人員削減ではなく人がより良いものを作るために使うべきだと訴える。
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生成AIの普及が進む中、業務の効率化が進んでいるが、それを組織の成果にどう結び付けるかが課題となっている。板野氏は従来の人材育成方法では対応できず、新たなアプローチが必要だと指摘している。
板野氏は「車の運転でナビばかりに頼っていると道を覚えなくなる」と例える。
かといって、今の若手に10年20年かけて下積みさせるのは現実的ではない。
「生成AI時代の人の育て方は、今まで通りではダメだと思う。もっと早く、もっと広く、もっと深く業務を経験させる。AIをコピペして使うのではなく、人が壁打ちの相手になるべき」
「AI人材の育成」自体を目的にしてしまうと、IT導入そのものが目的化してしまうのと同じ過ちが起こりかねないとも指摘する。
事業会社にはさまざまな要素技術を持った人材が集まっている。その競争力の源泉がどの技術にあるのかを見極めた上で、生成AIを使うことが本来の目的にかなうと板野氏は強調する。
効率化の先に「気付き」を生む DX戦略の本質
生成AIの活用では、個人の業務効率化が先行しているが、それを組織の成果にどう結び付けるかが大切だと板野氏は指摘する。
デジタル化や生成AIがもたらす効果は「効率化ではなくて可視化」だと板野氏は話す。そこから生まれる新たな発見を「気付きの種」と呼ぶ。
「デジタル化の推進と可視化された気付きの種に対する一人一人の創造性の発揮が、私は DX戦略の本質だと考える」
例として、板野氏は日本酒「獺祭」などで知られる旭酒造(現社名:獺祭)の取り組みを挙げる。デジタル化によって品質を安定させる一方、製造スタッフを増やし、ITで可視化した工程に対して人が対応する。デジタル化を人員削減だけに結び付けず、人がより良いものを作るために使っている。
スーパーマーケットの事例も挙げる。AIによる自動発注で約9割の商品を自動化した一方、残る約2%は人の意思による発注としたところ、この2%が売り上げの2割、利益の3割を生み出すきっかけになったという。
日々の発注業務を効率化したことで、人が「何を売りたいか」を考える時間が生まれた。「デジタル化をすればするほど、人の力が必要になってくる」という担当者の言葉が、板野氏には強く印象に残ったという。
「ポイントは人中心。 どんなにテクノロジーがあったとしても、やはり人中心で考えないと効果はない。全てのテクノロジーは人を幸せにするものでなければ何の意味もない。 ここは肝に銘じてやるべきじゃないか」

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