
退職代行をめぐる違法な弁護士紹介事件で、東京地裁は元代表らに執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。
本人に代わり退職意思を伝える「退職代行モームリ」の運営会社元代表ら2人が、弁護士法違反などの罪で東京地裁から執行猶予付きの有罪判決を受けた。未払い賃金などの交渉を弁護士に違法に紹介し、報酬を得ていた。
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退職代行業者が未払い賃金などの法律業務を弁護士に紹介し、報酬を得る行為が弁護士法違反(非弁周旋)に問われた裁判。
本人に代わり退職意思を伝えるサービス「退職代行モームリ」で、退職に関する法律的な交渉を弁護士に紹介して報酬を得ていたとして、弁護士法違反などの罪に問われた運営会社の元代表ら2人の判決が28日、東京地裁であった。林欣寛裁判長は、元代表の谷本慎二被告(37)に懲役2年執行猶予3年(求刑懲役2年)、妻で元従業員の志織被告(32)に懲役1年6カ月執行猶予3年(求刑懲役1年6カ月)を言い渡した。
法人として起訴された運営会社「アルバトロス」(横浜市中区)は罰金200万円とした。
起訴内容は2023~25年、退職希望者計174人に関する交渉業務を弁護士に紹介したというもの。被告らは裁判で起訴内容を認め、「(紹介先の)弁護士に大丈夫だと言われ、安易に考えてしまった」(慎二被告)と述べていた。
判決は「利益を優先させて法令順守を軽視したもので、非難を免れない」と述べた。
退職代行の業務のうち、本人に代わって退職の意思を会社に伝えることは弁護士法上の問題はない。だが、未払い賃金や残りの有給休暇といった具体的な権利に関わる交渉(法律業務)は弁護士などでないと扱えないことになっている。
被告らはこうした交渉が必要な依頼者を二つの弁護士法人に紹介し、1人あたり1万6500円の紹介料を得ていた。紹介料は「労働組合への賛助金」などの名目で振り込まれていた。
違法行為のきっかけは
だが、弁護士法は弁護士でない人が報酬を得て法律業務を弁護士に繰り返し紹介すること(非弁周旋)を禁じている。弁護士が紹介者の言いなりになると、依頼者の不利益になる恐れがあるためだ。
なぜ違法となる紹介をしたのか。きっかけは、被告らが同業他社とのミーティングで「自分たちでできない法律業務がある時には弁護士に紹介している」と聞いたことだった。紹介が弁護士法違反になるとは知らず、「これまで断ってきた人の力になれるし、会社の利益にもなる」(志織被告)と考えたという。
その後、顧問弁護士だった梶田潤被告=弁護士法違反罪で懲役1年6カ月、執行猶予3年の判決に対し控訴=に相談したところ「紹介料ではなく賛助金名目ならいい」と指摘された。別の弁護士=弁護士法違反罪で公判中=からも「協業したい」と話を持ちかけられ、依頼者を紹介するようになったという。
弁護人は最終弁論で「一般人である被告が、弁護士の提案を問題ないと受け入れてしまったのは自然なことだ。違法行為をしようと思ったのではない」などと訴えた。
判決は、1年8カ月で174人を紹介したことは「弁護士制度の公正な運営に影響を与えかねない」と指摘。ただ、紹介に至る経緯などから被告らのみを責められないとし、反省していることも踏まえて執行猶予とした。
被告らはアルバトロス社を退き、同社は新たな代表と顧問弁護士のもとで退職代行を再開している。新代表は公判で「今回の件を忘れず、本当に助けを必要としている人のために粛々と営業したい」と述べていた。
退職代行サービス「モームリ」運営会社の前社長・谷本慎二被告らが、弁護士資格がないまま退職希望者を弁護士にあっせんしたとして、弁護士法違反などの罪で東京地裁から有罪判決を受けた。法人には罰金刑が科された。

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