
アスベストによる中皮腫で死亡した男性の遺族が国を訴えた裁判の控訴審で、東京高裁は損害賠償請求権の時効起算点を「発症時」ではなく「死亡時」と判断。国に1300万円の賠償を命じた。石綿被害で死亡時を起算点とした高裁判決は初。
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アスベスト被害をめぐり、国は中皮腫による死亡の時効起算点を「発症時」と主張してきた。高松高裁では昨年7月に「発症時」とする国側の主張が認められ、最高裁で係争中である。
アスベスト(石綿)を吸い、22年前に中皮腫で死亡した男性について、国への損害賠償請求権の時効が成立しているかが争われた訴訟の控訴審で、東京高裁(谷口園恵裁判長)は27日の判決で「発症時ではなく、死亡時から時効を起算すべきだ」と判断した。時効の成立を認めず、1300万円の賠償金を遺族に支払うよう国に命じた。
厚生労働省によると、石綿被害をめぐる時効の起算点を「死亡時」と高裁が認めたのは初めて。
男性は1964~80年、ポリエステルの製造作業に従事し、保温材に含まれていたアスベストの粉じんを吸った。2002年に悪性胸膜中皮腫と診断され、04年に亡くなった。
石綿被害に関する国の救済制度では、訴訟で和解が成立した被災者や遺族に賠償金が支払われる。国側は、中皮腫と肺がんによる死亡は「発症時」を時効の起算点としている。
今回の遺族は22年に提訴したが、国側は男性の中皮腫の発症から20年以上がたっており、時効が成立していると主張した。
高裁は、一審・東京地裁に続き「死亡した日」が起算点になるとして、遺族側の請求を認めた。
中皮腫を発症した人が生存中に、死亡による慰謝料を求めることは難しいなどと指摘。発症時から時効を起算するのは「被害者にとって著しく酷だ」と判断した。
厚労省によると、同様の裁判での高裁判決は2件目。昨年7月に高松高裁は「発症時」との国側の主張を認め、最高裁で審理が続いている。
中皮腫による死者は毎年約1500人に上っている。
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