鉄骨階段メーカー・横森製作所が挑むグローバルニッチ戦略と米国市場での成長
鉄骨階段製造の横森製作所は、グローバルニッチトップ企業として海外展開を加速。米国でのM&A戦略において、LinkedInを活用した候補企業選定と、現地での対面コミュニケーションを重視する経営手法で成長を遂げている。
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横森製作所は1951年創業の鉄骨階段メーカー。リーマン・ショック後の赤字経験を機に海外展開を本格化させた。
世界でも高い技術力を持つことで知られる日本企業。ニッチ分野で目立たないものの、高い技術や世界シェアを持つ企業は少なくない。ドイツの経営思想家のハーマン・サイモン氏はこうした企業を「隠れたチャンピオン」と定義し、経済産業省も「グローバルニッチトップ企業」として支援している。
グローバルニッチは高い技術力を持つ一方で、知名度が実力に比べて劣り、ITを駆使して海外でのブランディングや販売に生かしていることも多い。この連載では、こうした企業のIT戦略をインタビューで深掘りする。
第16回は鉄骨階段を製造・販売する横森製作所(東京都渋谷区)を取り上げる。同社はビジネスSNS「LinkedIn」を積極的に活用した海外M&A(合併・買収)を進めている。
同社の有明威社長は「オンラインで情報収集した上で、実際に企業の人たちと会って会社の雰囲気や内情を知ることが重要だ」と話す。聞き手は、海外進出する中小企業のブランディング支援などを手掛けるZenkenの本村丹努琉(もとむら・たつる)。
Linkedinからオフラインへ 横森製作所の海外M&A戦略
──事業の概要を教えてください
有明威社長(以下、有明社長):当社は鉄骨階段の設計・製作、運搬、施工をワンストップで請け負う会社です。現在では超高層ビルやマンション、公共施設など多くの建築物の階段を手掛けています。日本国内の高さ上位50位内の超高層ビルのうち44物件が当社の階段を採用しています。1951年に東京・渋谷で創業し、現在では国内に工場を8カ所、営業拠点を7カ所保有しています。
──競合他社と比べた事業の強みを教えて下さい
有明社長:階段の供給能力が高く、顧客からの納期に迅速・柔軟に対応できることが最大の強みです。私たちの顧客企業であるゼネコンなどが携わる超高層ビルやショッピングセンターなど大型施設の建設では、納期の変更が珍しくありません。
例えば、建設の遅れなどによって、数週間後に納入する予定だった階段を「半年後に延期してほしい」と顧客企業が要望してくることもあります。当社ではこうした要望に対応できるよう、工場に大きな在庫スペースを確保しています。
また、子会社の運輸会社を通じて、顧客企業が要望した日時に正確に製品を搬入できます。物流の「2024年問題」など人手不足が続く中で、こうした対応をできる企業は少なく、顧客企業から評価を得られていると思います。
──同業他社はこうしたオペレーションは難しいのでしょうか
有明社長:当社はすでにスペースを持つ工場を8つ保有しており、グループに運輸会社を持つなど開発から販売・輸送までワンストップで受け持てる仕組みを整えています。他社がこれから同じオペレーションをやろうとすれば多大なコストがかかり、投資収益率(ROI)との兼ね合いから実現が難しいのではないかと思います。
──御社は海外でも積極的に事業を展開しています
有明社長:複数の国に進出しましたが、最も規模の大きいのが米国事業です。17年に現地法人を設立して進出しました。ケンタッキー州にある鉄骨階段製造事業者のSENTRY STEELをM&Aして子会社化し、ビジネスを展開しています。
──米国進出の理由を教えて下さい
有明社長:当社は75期の歴史がありますが、リーマン・ショック後に唯一、最終損益が赤字に転落したことがあります。このことが、海外を含めた事業ポートフォリオの重要性を認識するきっかけになりました。
──なぜ進出先に米国を選んだのでしょうか
有明社長:米国は先進国では珍しく人口が増えている国です。人口が増えれば建物や階段が必要となります。世界最大の経済規模を誇る国だけに、当社の製品への需要も強いと予想しました。実際、買収時の17年から米国での売上高は2倍に膨らんでいます。
──M&Aによる海外進出を選んだ理由は
有明社長:M&Aした理由は、ゼロからビジネスを始めるより、ローカル企業と協力した方が資本・営業効率が良いと考えたからです。米国で建設業に携わるのであれば、すでに“生態系”を地元で築いている企業のオーナーとなり、ローカルに根ざす必要があると考えました。
──米国のM&Aで重視している点は
有明社長:米国では人口の流入が激しいニューヨークやカリフォルニア、フロリダなどの州と、そうではない州に分かれます。前者は多くの企業が参入するのでレッドオーシャンですが、後者はブルーオーシャンです。
ただ、経済基盤をつくる建設業はどんな地方でも必要で、自治体からも守られています。また、それぞれの州に“ローカルチャンピオン”に当たる建設会社があります。このため私たちは、ブルーオーシャンの建設業の大企業を対象に検討を重ねています。
──海外M&Aでは、候補先探しにビジネスSNSを活用していると聞きました
有明社長:SENTRY STEELの買収では、必ずしもSNSを有効活用できたとはいえませんが、現在は買収の候補先の探索ツールとして、LinkedInを積極的に活用しています。
LinkedInは、多くの米企業が活用しており、企業の新しいプロジェクトや事業展開、製品の写真などが投稿されています。他のSNSもありますが、LinkedInが実情をより正確に反映しているように思います。
──具体的な活用方法は
有明社長:海外企業をM&Aするには、買収先企業が当社の製品や生産システムに興味を持ち、共感してくれるかが重要です。このため、まずはM&Aの候補企業のLinkedInに、階段の写真が掲載されているかを確認します。同業者なので、製品の完成写真や出荷、施工の様子を見れば、ある程度の実力がわかります。
十分な実力があると判断した企業のうち、所在地を確認した上で潜在的パートナーとしてリストアップ。コンサルティング会社やM&A仲介業者を経由してコンタクトを取り、実際にお会いして話を聞いています。
──オンラインを十分活用しつつ、オフラインの打ち合わせにつなげていくということですね
有明社長:オンラインの情報は非常に有用ですが、それだけで企業の実力や内部の実情がわかったと思い込むのは危険です。「会って相手の話を聞く」というオフラインのステップを踏み、相手をしっかりと見極めることが大事です。
──海外進出時に苦労したことはありますか
有明社長:米国に進出して間もなく新型コロナウイルスの感染が拡大し、1カ月ほど休業を余儀なくされました。その後、政府が「建設業はエッセンシャルワーカーとして仕事しても良い」と認可してくれましたが、それまでは不安な日々が続きました。法人税や州税の減税も受けられたことでキャッシュフローも安定し、コロナ禍でも安定した経営を続けることができました。
私自身も当初は米国の従業員に溶け込むのに苦労しました。ローカル色の強いケンタッキー州での営業は難しく、それぞれの州で英語になまりがあるため、言葉の壁もありました。このため、私は工場のレイアウトなど職場環境を改善したり、日本の工場から熟練技能者を呼んできたりして、自分ができることを懸命にやろうと努めました。
そのうち、米国人の同僚から努力を認めてもらえたのか、声をかけてもらえるようになりました。このほか、従業員の評価基準やボーナスなどの意思決定をローカルのCEO(最高経営責任者)に一任するなど米国人のやり方を尊重したことも、米国人の従業員から信頼を得られるようになった一因だったと考えています。

フリマアプリの利用増加に伴い、宅配便の需要が高まる中、セブン―イレブン・ジャパンはヤマト運輸と協力し、セルフ発送機を導入している。2024年の店舗受付分の約8割がフリマ関連で、レジの負担軽減のため都内約170店舗に設置し、来春までに3千店舗へ拡大する計画だ。

デサントジャパンが販売する高機能ポロシャツ「オリエリ」は、希望小売価格1万7600円という高価格帯ながら、発売から3年で年間販売数量が約10倍に達する見込み。襟の印象にこだわった独自の製法と、吸水速乾・ストレッチ・UVカット機能を持つ素材「TOUGH」を用いた製品開発が背景にある。

MUFGは8月26日、富裕層向け会員組織「エムット Excellent Club」とデジタル相続プラットフォーム「エムットそうぞく」を発表した。会員組織は預かり金融資産3000万円以上または資産運用残高1000万円以上の個人を対象とし、オプトアウト方式で約75万人が該当する。目玉は三菱UFJ銀行と三菱UFJニコスが共同開発したプラチナカードで、預金残高に応じた還元率(1.0%~1.6%)を提供し、入会金・年会費は永年無料。その他に専門家相談サービスや金利優遇などを提供し、預金の維持とLTV向上を狙う。

同じ指摘を繰り返しても部下のミスが改善しない悩みに対し、フィードバックが逆効果になるケースがあることを研究に基づいて指摘。仕事そのものへの指摘か、本人の評価への指摘かの違いが鍵であり、上司は部下のミスへの認識のずれを解消し、仕組みづくりによる改善を探る必要がある。

2021年6月のNTTドコモのdデリバリーを皮切りに、2022年にfoodpanda、DiDi Food、楽天ぐるなびデリバリーが相次いでサービスを終了した第1の波。2026年3月にWolt、9月にmenuが撤退する第2の波。第1の波では楽天デリバリーとdデリバリーなど既存勢が、第2の波ではChompyなど特需組の生き残りが撤退。Uber Eatsは両波を乗り越えて生き残った。

スターバックスが東京・吉祥寺に9店舗を出店し、同一エリアでの集中出店戦略を展開。2026年7月・8月に新たに2店舗を追加し、吉祥寺駅周辺がスタバ激戦区となった。流通小売り・サービス業コンサルタントの岩崎剛幸が、この超ドミナント戦略の狙いを分析する。